シェアベースmigiwa
立ち上げDIYの記録

お客様の声

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はじめに

こんにちは!茨城県水戸市で、私設図書館「シェアベースmigiwa」を運営している板谷隼です。今回はmigiwaを立ち上げた2024年5月〜6月に、時由地材の本谷さんを中心に空間の設計とDIYの監修をお願いした時の記録を綴っていきます。

依頼までの経緯

「シェアベースmigiwa」は、県や市が運営する公立のものではない「私設図書館」です。本が並んでゆっくり読書ができるスペースのほかに、コワーキングやイベントに使える「シェアリビング」を併設しています。

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そしてこの場所は、以前に時由地材のサポートを受けてDIYと引っ越しを遂行したシェアハウス「Co-Livingはちとご」(https://jiyudizai.jp/works/coliving-hachitogo/)と同じ物件です。当時はまだ大家さんの荷物がたくさんある物置状態でしたが、引越し後に少しずつ片付け、スペースが確保できたこともあり、この場所をシェアハウス住人と地域の方が自然と交わるような場にしようと、「migiwa計画」が始まりました。

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migiwaには日々、様々な人が立ち寄ってくれます

資金調達のため、2024年4月から5月にかけてクラウドファンディングを実施し、無事に目標金額を達成。そして、5月下旬から6月16日のオープンイベントに向け、怒涛のDIY。要するに、「空き家を利活用して交流拠点としての私設図書館を立ち上げる」というこのプロジェクトの空間づくりを時由地材に依頼しました。実は本谷さんには依頼の随分前から本件について相談をしていて、物件が固まったタイミングで片付けから一緒になって伴走していただきました。

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シェアハウスと繋がっている、この赤色の部分を…

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こうする!というプロジェクトでした。このイラストはDIYの前に作成。今振り返ると、「思い描いていたものをDIYで形にできた!」と思えます。

本谷さんに依頼した理由は、時由地材のDIYは空間(建築)をつくることと同時に、その場に紐づくコミュニティを育てる営みだと思っているからです。「みんなで作ったから思い入れがある。だから何度も訪れたくなる」という流れを、本谷さんたちと一緒に作れたら嬉しいと思いました。

具体的な依頼内容はこんな感じです。

・本棚作りワークショップの開催

・6畳二間の壁を抜いて1部屋に改装

・床や壁のヒビ入っている部分の補修

・図書館らしい雰囲気にするための内装設計

DIYの記録

ここからはDIYの様子をお送りします。オープンイベントまで工期が1ヶ月弱とかなりの強行スケジュールでした…。それはもう大変でしたが、振り返ると奇跡みたいにも思えて、今でも時折、写真や動画を見返しています。

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本棚づくりワークショップ

はじめにクラウドファンディングのリターンに設定したDIYワークショップを開催しました。制作したのはカウンターテーブルを兼ねた本棚!りんご箱を積んでビス止めして、天板をつけるというシンプルな作りで、集まったDIY初心者たちが本谷さんにレクチャーを受けながら、一つ一つ作業を進めていきました。

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初めての電動ドリルに挑戦する小学生も…!

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完成しました!キャスター付きにしたので、
イベントの時には自由に動かせて今でも大活躍中です!

壁をハンマーでどーん!

本棚づくりと同日、6畳二間を1つの空間にするため、間仕切りの壁を抜きました。みんなでハンマーを握って「えいやー!」と壁を壊していく作業は、なかなかスリリング。築70年の建物なだけに「大丈夫かな...?」とドキドキしながらの作業でしたが、本谷さんの指示のもと、安全に進めることができました。

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崩れている部分やヒビは、東日本大震災の爪痕だそう
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本谷さんが安全の確認をしてくれます
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ハンマーでどーん!
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ちなみに土壁だったため、大量の砂が…!掃除の方が大変でしたね…!
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壁を塗る毎日

これが大変で、とにかく壁を白いペンキで塗り上げました!(笑)というのも、ヒビがあるところや黄ばみが強いところだけをペンキで塗って、補強しつつ綺麗にしようというつもりだったんですが、いざ塗ってみたら「あれ、色、違いすぎん…?」となりまして、違和感のないように塗り上げるために範囲が4倍になるという緊急事態。これは全然終わらない…!!!と思って、SNSでSOSを出しました(笑)。

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「あれ…全然色が違うね…?笑」の瞬間

時由地材のスタッフさん、シェアハウスの住人、いつも仲良くしてくれているご近所さん、などが手伝いに来てくれ、毎日ちょっとずつ塗り続けました!壁の塗装は、シーラー(下地)→乾かす→ペンキ→乾かす→ペンキ→…(ペンキは3回重ね塗り)という工程。とにかく塗る範囲が広くなったので、本当に大変でした(壁塗りの計画は慎重に…)。でも、みんなでああだこうだと言いながら作業していると、大変さも楽しい思い出に変わっていくんです。「この壁、私が塗ったんだよね!」って後から言えるのも、DIYならではの醍醐味ですね。

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トイレは天井も塗りました

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震災の影響でヒビも多かった壁ですが…

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こんなに綺麗に塗れました…!

床・壁・家具作り

壁の塗装の次は、崩れていた壁を木の板で張り直したり、床材を新たに張りました。本谷さんが見つけてきた床材が糊を使わずに作業できるもので、「こんな素材があるんだ!」とDIY初心者の私たちには新鮮な発見でした。一枚一枚丁寧に床を作っていく作業は、まさに図書館の土台を作っている実感がありました。

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ベニヤ板で壁を作り…

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その上にさらに白色の化粧板材を貼ることで、
ここは塗装なしで白色に。

続いて家具は、時由地材の扱っている古家具からもいくつか購入。磨いたり塗装し直したりして綺麗に蘇らせてから使っています。シェアリビングの中央にある八角形テーブルは1から設計して本谷さんが製作してくれました。利用者の使い勝手を考えながら、高さや大きさを決めていく過程も勉強になりました。

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友人が家具をたくさん磨いてくれました
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手前の学生さんは、SNSでmigiwaのことを知って、県外からはるばる駆けつけてくれました…!
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シェアリビング中央の八角形テーブルは、部屋の中央の柱を囲むように設計。天板の広さや高さを、ダンボールの模型を使いながらじっくり考えました

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こんな感じに仕上がりました!

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この空間は、壁と床を張り直して、修繕した家具を置いて…

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こんな感じ!

怒涛の追い込み...!

この年の「もう絶対に間に合わんやろオブザイヤー」をきっと受賞したこのmigiwa。ここまで何枚か仕上がりの写真を掲載しましたが、実際は全然そんな余裕はなく、オープンイベントに間に合うかどうかの瀬戸際で、ギリギリの戦いでした。

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オープン前日の夜でもまだ塗るところがあるくらい…笑

それでも、このラスト1週間くらいはDIYを通してみんなが仲良くもなり、その日の作業終わりには作りかけの空間で食卓を囲む毎日でした。本谷さんが「実は、こういうの憧れてたんだよねえ」としみじみ言っていたのが記憶に残っています。

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出来上がったばかりの部屋で乾杯!

そして!迎えたオープンイベント当日の朝!


migiwaは完成・・・・・・


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できていませんでした!(笑)

壁もあと少し、家具もまだ完成してない。そもそも無茶なスケジュールでしたからねとはいえ、これはやばーい!(オープンイベントはお昼下がりからそんな様子をSNSにアップしたら「大変そうだね!何か手伝うよ!雑巾持って行くね!」というご近所さん。オープンイベント参加者の方も「早めにきたよ!」と助っ人に来てくれました

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到着した人にひとまず雑巾を渡していく(笑)

最後の仕上げを頑張る時由地材率いるDIYチームと、掃除したり料理したりとイベントの準備に奔走するチーム(参加者含む笑)で駆け抜けました。今となっては懐かしい思い出です。

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イベントに参加してくれる皆さんと一緒に、
本を本棚に並べました笑

そして無事にオープンイベント開幕!(本当に良かった!)オープンイベントにはクラファン支援者の方を中心に、たくさんの方が集まってくれ、ご飯を食べ、トークセッションを開き、完成した「シェアベースmigiwa」をお披露目できました。

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最後まで本当にお疲れ様でした!

感想と後日談

クラウドファンディングで資金を集めたところから、DIYでつくるところまで、この場所は「みんなのもの」になってほしいという願いから、「ともにつくる」ことにこだわりたいと思っていました。

工期の短さゆえのピンチはたくさんあったけど、そんな時に「手伝って!」と声をかけてみたら、友人・知人、様々な人が集まって、新しい図書館のDIYに手を貸してくれました。

無我夢中で完成に向かっていったあの時間は、もちろん大変さもあったけど、今となってはいい思い出として振り返ることができます。「ともにつくる」ことで、そんな記憶を関わってくれた人たちと共有できているとも思います。

「懐かしい」という感情は、時に大きなエネルギーを生みます。

いつか、今関わっている人が遠く離れることもあるかもしれないし、この場所に終わりが来るかもしれないけど、ずっと先まで語れる記憶をたくさんの人と共に持てたことが嬉しいです。

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それから、その大変さを「あの時ギリギリだったねー!」と笑えるのは、きっとみんなでワイワイ頑張ったから。プロじゃない人たちが多い集まりで、無駄も遠回りもたくさんしたけど、その分、大切な記憶は増えました。

そして、本谷さんはそんなふうにたくさんの人が集まる現場で、不確定なことを楽しみながら、みんなの船を安全に前に進めてくれる航海士みたいでした。

時由地材のDIYは、空間を作るだけではなく、「ともにつくる」体験そのものをデザインしているんだなと実感しました。

「migiwa」という名前は、水際や波打ち際を意味する「汀(みぎわ)」から取っています。地域に開いた場として、人やモノや情報、新しいアイデアが流れつき、それが交わるような場所になればと思って名づけました。

オープン後のmigiwaは徐々に人が集まる場になってきています。そして水辺と陸の境界が曖昧な波打ち際のように、運営と利用者の境界は日に日に曖昧になっていき、「みんなの場」に近づいている実感もあります。

振り返ってみると、その始まりはあのDIYの日々からかもしれません。

気づけば僕らも「依頼者」「業者」という境界線は感じていませんでした。一緒にDIYをしてくれる人たちも、なんだかみんな自分のことのように一生懸命な人たちばかりでした。

そうして、立ち上げの時から「みんなの場」へのスタートを切れたのは、本谷さんと時由地材のみんなと「ともにつくる」ことができたからだと思っています。

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