空き家問題の現状
社会全体の問題として
日本の空き家の数は年々増加しており、2023年にはおよそ848万戸の空き家が存在しています。これは約7軒に1軒が空き家であることを示しており、その数は今後も増加が予測されています。都市部では高齢化や人口減少に伴い、老朽化した住宅が増え、放置されるケースが増えています。また、地方では若者の都市部への流出や少子高齢化が進行し、空き家が増加しています。
空き家をかかえている家主さんに読んでほしい
・ひょんなことから、空き家をかかえることになってしまった。
・この空き家は息子、娘の世代まで持ち越したくない。
・売りに出そうとしても、二束三文にしかならない。
・お金をかけてリフォームをしてまで何か事業を起こそうとまでは思わないけど、
何か世のため、人のためになるようなことをしたい。
空き家をかかえている方々の多くはこんな思いなのではないでしょうか。
そんな方へ今回は、建築士であり、整理収納アドバイザーとして、さらには実際に空き家をシェアハウスとして活用している私が空き家問題について、日本全体の巨視的な視点と、1物件単位のミクロな視点からお伝えしていけたらと思います。
空き家がもたらす問題
空き家問題の影響は、社会経済に深刻なダメージを与えています。この問題は全国的に広がっており、地域の発展を妨げるだけでなく、住民の安全や生活環境にも直接的な影響を及ぼしています。
犯罪や火災のリスク増加
空き家は、定期的な管理や監視がされていないため、犯罪や火災の発生リスクが高まります。空き家は放置されやすく、不審者の侵入や不法占拠の対象となりやすい場所でもあります。
また、老朽化した建物は火災が発生しやすく、周囲の建物にも被害を及ぼす危険性が高まります。これにより、地域の安全が脅かされ、周辺住民にとって大きな不安材料となるのです。
近隣への悪影響
空き家が増加すると、その周辺に住む人々の生活環境にも悪影響を及ぼします。空き家は荒れ果てたまま放置されることが多く、ゴミの不法投棄や雑草の繁茂、害虫や動物の発生など、衛生面での問題を引き起こす可能性があります。
また、空き家が多い地域は、景観が悪化し、住環境全体の魅力が低下するため、近隣住民の不動産価値も下がりやすくなります。これにより、周辺住民が引っ越すことも増え、コミュニティの崩壊につながるケースもあります。
地域の活性化の阻害
空き家が増加することで、地域の活性化が阻害される要因となります。新しい住民や企業が地域に参入しにくくなり、地域全体が停滞することがあります。特に、若年層や移住者が定着しにくい地域では、人口減少がさらに進み、学校や病院などの公共サービスが縮小される危機に直面します。
また、空き家の多い地域は、地域コミュニティの衰退や、住民同士のつながりが希薄になるなど、社会的な問題も引き起こす可能性があります。これにより、地域の発展が長期的に阻害される恐れがあります。
環境への影響
空き家の放置は、環境にも悪影響を与えることがあります。老朽化した建物の崩壊によって、建築資材や廃棄物が周辺環境に散乱し、土壌や水質の汚染が発生することもあります。また、建物が放置されることで、動物や植物が予期しない形で繁殖し、地域の生態系に影響を与えることもあります。これにより、地域の自然環境が損なわれ、住民の生活にも悪影響を及ぼすことがあります。
空き家問題の対策
空き家問題に対処するためには、国、自治体、地域住民が連携して総合的な対策を講じる必要があります。以下に具体的な対策を挙げます。
1. 法制度の整備と強化
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、自治体は空き家の所有者に対して適切な管理を求めることができるようになりました。さらに、管理が不十分な場合は行政代執行を行い、所有者に費用を請求することも可能です。このような法的措置を強化することで、空き家の適切な管理が促進されます。
2. 空き家の活用促進
空き家を有効活用するための施策として、リノベーションやリフォームの支援が重要です。例えば、若者や子育て世代に対する住宅支援として、空き家を改修して提供する取り組みがあります。また、空き家を地域コミュニティスペースや観光施設として活用する事例も増えています。これにより、地域の活性化と空き家の減少が図られます。
もし、「どこに相談していいかわからない」と、お困りの方がいらっしゃいましたら私自身が建築士としても活動しているので、お気軽にご相談ください。
3. 税制優遇措置
空き家の解体や改修に対する税制優遇措置を導入することで、所有者が積極的に空き家問題に取り組む意欲を高めることができます。具体的には、固定資産税の軽減や所得税の控除などが考えられます。
4. 地域コミュニティの再構築
地域住民が協力して空き家問題に取り組むことで、コミュニティの絆を強化し、地域全体の活性化を図ることができます。例えば、自治会やNPO法人が中心となって空き家の管理や利活用を推進する取り組みがあります。
実際に私が運営しているシェアハウスでは、地域の方々が集まるBBQを開催したり、軒先で小さなマルシェをやるなど、地域の活性化に貢献しています。
空き家問題への対策や活用方法について
私たちは空き物件のシェアハウス活用をはじめとして様々な空き家問題への取り組みを行っています。またシェアハウスメンバーが主体となって様々なイベントや活動をすることで、地域にも良い影響を与えています。
空き家を活用したゲストハウス事業について
空き家を活用したゲストハウスは、地域の資源を有効に活用しながら、観光業や地域経済を活性化させるビジネスモデルとして注目されています。特に近年では、リノベーションされた古民家や空き家を利用した宿泊施設が、訪れる観光客にユニークな体験を提供する場として人気を集めています。特に古民家をリノベーションした宿泊施設は、日本の伝統的な建築様式や生活様式を体感できる場として、国内外からの観光客に高い評価を得ています。
外国人観光客や都会の若者、ファミリー層、またはリモートワーカーなど、国内外問わず多様なターゲット層にアプローチが可能です。都会から地方へ遊びに来た観光客の集まりや宿泊場所として活用してもらうことで、田舎暮らしを身近に感じてもらえます。
また、空き家を活用したゲストハウスは、その独自性からSNSや口コミで話題になりやすい傾向にあります。特に、インスタグラムやPinterestといったビジュアルに特化したSNSでは、伝統的な古民家やユニークなデザインの宿が注目を集めます。
空き家を活用したシェアハウス事業について
空き家をシェアハウスとして再活用することは、住宅問題や空き家問題の解決策として注目されており、地域社会や居住者にとって多くのメリットをもたらします。
空き家をリノベーションしてシェアハウスとして提供することで、都会に比べて安価な賃料で住居を提供することができます。特に若年層や移住希望者、リモートワーカーにとっては、安価な住まいを求める需要が高く、シェアハウスは魅力的です。
シェアハウスは、異なるバックグラウンドを持つ人々が一緒に暮らすことで、新たなコミュニティ形成の場となります。空き家をシェアハウスに転用することで、都会から地方への移住者や外国人、地方での新たな生活を求める人々をつなぐ拠点となります。
時由地材が行っている「由’sシェアハウス」について
時由地材も「由’sシェアハウス」というシェアハウス事業を行っております。
元々は設計事務所だった所を、リノベーションし地域の大学生や若者の住む場所として提供しています。
シェアハウスのコンセプトは”「やりたい」が生まれ、巣立つ場所”
生活する人が日々を楽しく過ごしたり、自分のやりたいことに挑戦するのを支える事ができる場所を作りたい。という想いから生まれました。
住民の数は3~4人なのでアットホームな暮らしができる他、定額全国住み込みサービス「ADDress」にも登録されている為、海外の方も含めた様々な旅人との交流もできます。
また、定期的にシェアハウスでオリジナルの行事を行うことで、地域の人との交流場ともなっています。
2024年の8月はシェアハウスで夏祭りを開催。たくさんの地域の人々が集まりました。
空き家をシェアハウスとして活用することで、地域活性化にも繋がります。
気になる人は是非ホームページをご覧ください♪
空き家を使ったシェアハウス事業を考えている方は、是非一度、時由地材へご相談ください。
空き家を活用した【シェアベースMigiwa】
空き家を活用した事業として、シェアベースMigiwaという「図書館&シェアリビング」があります。
この空き家は元々は診療所でした。診療所特有の広い待合いスペースや診療スペースを上手く活用し、ゆっくりくつろげる空間やコワーキングスペースとなっています。
地域の人々が本を持ち寄ったり、子供からお年寄りまで自由に本を楽しめます。また、「一箱本棚オーナー」という、自分専用の本棚を借りて好きな本をおくことができ、自分がおすすめしたい本を紹介することができます。
本が好きな方にはとても素敵な場所となっています。
またコワーキングスペースもあり、ちょっとした作業や仕事をしたい人におすすめです。
時由地材は、Migiwaの壁の塗装や床張りなどの工事をオーナーさんや地域の方と一緒に担当しました。
このように地域の人と協力してリノベーションすることで、地域の人にとっても思い入れの場所となり、地域活性化に繋がります。
空き家問題の解決策
空き家問題を解決するためには、政府や地方自治体、そして民間企業との連携が不可欠です。まず、空き家の有効活用促進策として、リノベーションや再開発などの取り組みが重要です。また、住民の定住促進や地域活性化に向けた施策の充実も必要です。さらに、空き家の管理や安全確保に関する制度の整備も重要です。
茨城県の空き家補助金について
私が活動の拠点としている茨城県の水戸市では空き商店街の活性化のための補助金があるなど、全国でもそのような行政のサポートもあると思われます。もしお困りの方がいましたら、お気軽にお問い合わせください。
空き家を活用した事業や移住についての提案
空き家を活用して地方で事業を始めることや移住することは、地方の活性化や地域社会の再生に貢献するだけでなく、都市部にはないビジネス機会や新しいライフスタイルを手に入れることができます。特に、最近ではリモートワークの普及や、ライフスタイルの多様化に伴い、都会を離れて地方で新たな挑戦をする人が増えています。
新しい事業を考えている方へ
新しい事業を始めることを考えている方におすすめしたいのが、田舎にある空き家です。
田舎にある空き家は、都会の物件と比較して格段に低価格で取得できるため、初期投資を抑えることができます。また、空き家バンクや自治体の補助金制度を利用することで、さらにコストを削減できる可能性があります。リフォーム費用も含めて考えても、都会で新築物件を借りたり購入したりするよりも低コストで事業を開始できる点は大きなメリットです。
最近は古民家をリノベーションしてゲストハウスやカフェなど、地域の特性にマッチしたビジネスを展開することで、若者や地域の人から愛されるお店が数々存在します。
多くの地方自治体では、空き家を活用した事業を支援するための補助金や税制優遇措置を提供しています。これにより、リノベーション費用や事業運営にかかる費用の一部を賄うことができ、経済的な負担が軽減されます。自治体と連携することで、資金調達やプロモーション活動の支援を受けることも可能です。
第二の人生田舎暮らしを考えている方へ
第二の人生を都会ではなく、地方や田舎などで過ごしたいと考えている方におすすめしたいのが、空き家を活用することです。
低コストでの住宅所得ができるのはもちろん、広いスペースと自然環境でリラックスした環境で過ごすことができます。
ゆったりとしたペースで生活を楽しみたい方にとって田舎暮らしは大きな魅力です。
ただ、ただ安さだけで空き家を選んでしまうと、大きな失敗に繋がる事もあります。
そのような失敗を避けるためにも、専門家に一度見てもらうことをおすすめしています。
場合によっては、空き家内部の清掃、リフォームやリノベーションなどが必要になることがあります。
時由地材では、そのような空き家で第二の人生を歩もうとしている方々のお助けをしています。
時由地材のオーナー本谷由香は2級建築士の資格を所有し、数々の空き家案件を担当してきました。
初めての田舎暮らしをより豊かなものにするために、空き家の状態や、清掃、リノベーションなどを一緒にお手伝いいたします。場合によってはリフォームなど大きな作業は時由地材からの紹介をすることが可能です。
空き家を所有人におすすめ【空き家バンク】について
多くの地方自治体では「空き家バンク」と呼ばれる仕組みを設け、空き家を希望者に紹介し、賃貸や売却を促進しています。これにより、所有者は活用されていない家を賃貸や売却ができるため、建物が無駄にならずに済みます。空き家バンクは、特に地方への移住を希望する人にとって低コストで住宅所得ができるなど大きなメリットがあります。若い世代や移住者に対して手頃な住宅を提供し、地域の活性化を図る動きも見られます。
空き家を所有している方は空き家バンクなどを活用することで、いろいろなメリットが得られるのでおすすめです。
まとめ
空き家問題は日本全体に広がる深刻な課題ですが、適切な対策を講じることで解決への道が開かれます。法制度の整備や税制優遇措置、地域コミュニティの再構築など、多角的なアプローチが必要です。また、空き家を単なる問題として捉えるのではなく、リノベーションや地域活性化のチャンスとして活用する視点も重要です。
また、実際に空き家だった場所をシェアハウスとして活用している身として感じることは、「とっても楽しいです!」
シェアハウスの住民はもちろんのこと、地域の人が集まれる拠点としても機能しており、その他にも、日中にPC作業をしたい方が利用したり、ちょっとお茶したい方、イベントをやりたい方などなど。
本来は空き家になってしまい、人が寄りつかない寂れた場所だったはずところが、活用の仕方によってはたくさんの人が出入りする賑やかな環境に変えることができます。
もし、あなたの空き家を活用してみたいという際にはお気軽に相談ください。
時由地材代表:本谷由香のプロフィール
『見捨てられたものに新たな価値を』
この理念のもと、茨城県水戸市を拠点に空き家の片付け・リフォーム事業や廃材のリメイク、シェアハウスを通じた心の拠り所づくりなどを行っております。
私の祖父は大工で叔父も建築士だったので、ものごころついた時から建築が身近にあり、二級建築士の資格も取得。物の再利用にも興味をもち、失われゆくものの魅力を発見し、新たな価値を創造してきました。
ご依頼者様の想いや建物に寄り添った片付けと再活用方の提案によって秘められた価値を再発掘し、住む人、建物、その地域に幸せをもたらします。
また、空き家と猫を通じたまちづくりの一環として、保護猫活動も行っております。
売上金の一部は保護猫基金への寄付に充てさせていただきます。
(参考)保護猫事業のHP