日本の空き家問題は、今後さらに深刻化すると言われています。
近年発表された統計によれば、2030年には日本の全住宅の3割が空き家になると言われているほど、空き家は急速に増えているのです。
放置されたままになってしまった空き家は、火災や犯罪など様々なリスクの元になるなど、地域に様々な悪影響を生み出してしまいます。
しかし、活かし方次第では新たなビジネスチャンスになったりと、空き家は様々な可能性を秘めた存在でもあります。
この記事では、2030年における空き家問題の現状や背景、そして空き家問題の解決策や、実際に空き家を活用した事業の実例について詳しく解説します。
あなたも空き家を活用して、社会問題を解決しながら新しいことを始めてみませんか?
2030年の空き家問題とは?
2030年の空き家問題とは、野村総合研究所が2033年には日本全国の住宅の空き家率が30%を超えるという予測を出したことで、社会的な注目を集め始めた問題です。
つまり2033年以降、日本の住宅の約3〜4軒に一軒が空き家になる可能性があるということです。
街に空き家が増加すると、火災の原因になったり、様々な犯罪の温床となってしまいます。
また、そのような空き家が増加することで、街の景観が損なわれ、地域住民の心も荒んでいってしまいます。
実際に国土交通省も、報告の中で空き家問題は周辺への悪影響をもたらすため、個人の問題にとどまらず地域の問題であると明言しています。
30%という数字は後の統計では少し下方修正されましたが、このような社会的影響への懸念と、空き家を活用した様々なビジネスの可能性から、2030年の空き家問題は個人から企業、自治体まで様々な立場の人の関心を呼ぶことになりました。
空き家問題の現状
現在、日本では少子高齢化と人口減少が進行し、依然空き家の数はものすごい勢いで増加し続けています。
総務省の統計によると、居住目的のない空き家はここ30年で2倍以上増加し、2023年には全住宅の12%以上にあたる900万戸に達しました。
これは、すでに日本の住宅の10軒にひとつ以上が空き家と化しているということです。
また空き家の中でも、売りに出されることもなく、長い間人も住んでいない「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は全国で385万戸と、2018年から37万戸以上も増加しています。これは全住宅の5.9%にあたる数字です。
空き家問題の背景
空き家問題の原因はひとつではなく、その背景には様々な原因が存在します。
そのそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
新築住宅志向
日本の住宅市場は、どうせ住むなら新しい家を建てたいという「新築住宅志向」が強く、住宅が再利用されにくい原因となっています。
日本の新築住宅着工戸数は毎年約100万戸。これは、人口が2.5倍であるアメリカと同じかそれを上回るほどの数です。
実際、住宅取引件数のうちの中古住宅の割合は、アメリカが80%なのに対して日本はわずか15%。
日本の住宅は年数が経つごとに価値の目減りが激しいため、資産価値の低い中古物件を利用しようという意識になかなかなりにくく、また新築住宅優遇の政策などがこの傾向をさらにすすめていると言われています。
高齢化
空き家が増加している特に大きな原因のひとつが高齢化です。
現状、日本の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は30%に迫っており、40%近くにせまる地方も存在します。
高齢者が増加する中で特に増加しているケースは、一人暮らしの高齢者が増え、彼らが亡くなったり老人ホームに入った後の住宅が空き家となるケース。
住宅の所有者が高齢者本人であれば、本人以外はあまり管理もできないため、荒れ果ててしまうことが多いのです。
都市部への人口の一極集中
また、若者の都市部への移住が続いていることも原因として挙げられます。
特に10〜20代の若者の東京などの都市圏への流入は年々増加しており、地方で家庭を築こうとする若い世代が減少する中で、地方では人口減少が進んでいます。
このようにして人口減少により地方の住宅需要が減少したことも、空き家が増え続けている原因となっています。
空き家問題の社会への影響は?
空き家問題は、社会や経済に大きな影響を及ぼします。
地域レベルで見れば、放置された空き家は、犯罪や火災のリスクを高めるだけでなく、周辺の景観や住環境を悪化させることにもなります。
また、日本経済全体で見ても、空き家が増えることで、不動産市場の供給過剰が生じ、不動産価格の下落や地域経済の停滞を招くなどの悪影響があるといわれています。
空き家問題、どう解決する?
では、空き家問題を解決するために私たちは一体何ができるのでしょうか?
全体的な解決には政府、自治体、企業、そして地域住民の協力が不可欠ですが、私たちができる一番身近な解決策は、やはり空き家を有効活用することでしょう。
空き家をリノベーションして新たな住宅や商業施設、地域のコミュニティースペースなどとして活用することで、空き家問題の解決につながるだけでなく、地域のコミュニティや経済の活性化にもつながるでしょう。
空き家を活用した取り組みの例
ここでは、空き家を活用した取り組みの例として、私たちが普段活用している茨城県水戸市での事例をいくつか紹介します。
空き家が地域住民のたまり場に|シェアベースMigiwa
シェアベースMigiwaは、もともと診療所だった空き家をリノベーションし、地域の人が気軽に利用できる「図書館&シェアリビング」にする取り組みです。
地域の人々が本を持ち寄り、子どもからお年寄りまで自由に本を楽しめるほか、「一箱本棚オーナー」という仕組みがあり、自分専用の本棚を借りて好きな本を置くことができます。
自分の本棚を通じて、自分の活動や好きなものをアピールすることもできるため、本棚を見ることで、たとえ本人がその場にいなくとも、自然とそのオーナーさんの人となりや思いが浮かんだり…と、どこか人の温もりを感じることができます。
他にも、診療所特有の広い待合スペースや診療スペースをうまく活用し、ゆっくりくつろげる空間やコワーキングがしたい人向けのスペースも用意されていたり、定期的に様々なイベントが開催されたりと、多様な年代の関わりが自然と生まれる空間です。
私たち時由地材は、Migiwaの壁の塗装や床張りなどの工事をオーナーさんや地域の方と一緒に担当したほか、古家具販売やDIYレクチャーのイベントなども開催しました。
特色のある中古物件を、うまく特徴を活かしながら地域コミュニティの拠点として活用している良い例と言えるでしょう。
住民の「やりたい」を応援するシェアハウス|由’s シェアハウス
私たちが運営しているシェアハウス「由’s シェアハウス」も、もともと空き家だった物件をリノベーションして誕生しました。
シェアハウスのコンセプトは ”「やりたい」が育まれ、巣立つ場所 “。
生活する人が日々を楽しく過ごしたり、自分のやりたいことに挑戦するのを支えることができる場をつくりたいという想いから生まれました。
心の拠り所という意味のある「由」の文字を名前の由来としているのもそのためです。
住民の数は3〜4人なのでアットホームな暮らしができるほか、定額全国住み込みサービス「ADDress」にも登録されているため、海外の方も含めた様々な旅人との交流もできます。
定期的にシェアハウスの庭や中で様々なイベントも開催されていて、住人や地域の人々、旅人や外国人など、多様な人が集う拠点になっています。
また、住人などがイベントを開催したい時はシェアスペースを開催場所として利用することもできるため、これまでも様々なチャレンジが生まれ、育っていく場所となってきました。
このように空き家を有効活用することで、多様な人々がつながったり、新たな挑戦を応援する場にもすることができるのです。
気になる方はぜひHPをのぞいてみてください。
居住スペースは適度に区切られているため、プライベートも確保できるのでシェアハウス初心者にも安心です。
水戸駅からのアクセスも良いほか、東京駅直通のバスが通るバス停が目の前にあるため、交通や買い物にも便利な場所にあります。
地域住民としてできることをやろう
このように、空き家問題は地域住民が主体となって取り組むことが大切です。
また、地域にこのような拠点が増えることで、地方への移住やリモートワークも推進され、地方への人口分散にも繋がることがあります。
空き家を活用した事業をはじめたいあなたへ
日本の空き家問題はどんどん深刻化していきますが、ゆっくりでも確実にその影響を軽減させることは可能です。
あなたも2030年に向け、空き家を使った新たな価値を作りませんか?
私たち時由地材は「見捨てられたものに新たな価値を」という理念のもと、空き家を活用した様々なプロジェクトの立案や技術面での支援に携わってきました。
もし、あなたが
- 空き家を活用してプロジェクトをやりたいけど、知識がなくて不安…
- 活用したい空き家があるけど、モノが多すぎて片付けが大変…
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などの悩みを持っていらっしゃるなら、ぜひ一度気軽にご相談ください。
これまでの数々の経験や建築士としての知識から、空き家の物件選びのポイント、片付けやDIYのレクチャーまで、空き家を活用したあなたの夢をトータルでサポートいたします。
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時由地材代表:本谷由香のプロフィール
『見捨てられたものに新たな価値を』
この理念のもと、茨城県水戸市を拠点に空き家の片付け・リフォーム事業や廃材のリメイク、シェアハウスを通じた心の拠り所づくりなどを行っております。
私の祖父は大工で叔父も建築士だったので、ものごころついた時から建築が身近にあり、二級建築士の資格も取得。物の再利用にも興味をもち、失われゆくものの魅力を発見し、新たな価値を創造してきました。
ご依頼者様の想いや建物に寄り添った片付けと再活用方の提案によって秘められた価値を再発掘し、住む人、建物、その地域に幸せをもたらします。
また、空き家と猫を通じたまちづくりの一環として、保護猫活動も行っております。
売上金の一部は保護猫基金への寄付に充てさせていただきます。
(参考)保護猫事業のHP