空き家問題の現状
最近よく、耳にする「空き家問題」。日本の空き家の数は年々増加しており、2018年にはおよそ820万戸に達しました。都市部では高齢化や人口減少に伴い、老朽化した住宅が増え、放置されるケースが増えています。また、地方では若者の都市部への流出や少子高齢化が進行し、空き家が増加しています。日本における空き家問題は、都市部と地方の両方で深刻な社会問題となっています。
空き家の原因
では、なぜ近年空き家が急増しているのでしょうか?空き家問題の原因は大きく3つだと言われています。ここでは空き家問題の原因について深堀していきます。
少子高齢化
少子高齢化は、日本社会が抱える大きな課題の1つであり、それに伴って全国的に空き家問題が深刻化しています。特に地方や過疎地域では、人口減少と高齢化が進む中、使われなくなった住宅が増加しており、社会的・経済的・環境的な影響が懸念されています。
また、高齢者が増える中で、家の管理が行き届かなくなり、空き家が増加しています。高齢者が亡くなった後、相続手続きが滞ったり、相続人が地域外に住んでいるため管理が難しくなったりすることで、空き家が放置されるケースが増えています。放置された空き家は、老朽化が進むことで地域の景観を損ない、防災リスクも高まります。
人口減少
若い世代の都市部への流出と高齢者の孤独死などによる人口減少も空き家が増加する原因の一つです。都市部へ移住することで、元々の住民が減少し、家が使われなくなる状況が進行しています。これにより、空き家の数が増加し、地域経済の停滞が深刻化し、商業や公共サービスの縮小が続くことで、地域全体の活力が失われていきます。
これにより、地域経済やコミュニティに深刻な影響を与えます。
人口が減少する中、家の需要が低下し、使われなくなる家が増えているのが現状です。
相続問題
不動産の相続に伴う税金や維持費の負担が大きく、空き家のまま放置されるケースが多く見られます。特に、複数の相続人がいる場合、手続きが複雑化して、誰も管理できなくなることがあります。
空き家を放置するとどうなるか?
空き家をそのまま放置してしまうと、様々な問題やリスクがでてきます。ここでは空き家を放置することででてくる問題やリスクについて解説します。
犯罪や火災のリスク増加
空き家は、定期的な管理や監視がされていないため、犯罪や火災の発生リスクが高まります。空き家は放置されやすく、不審者の侵入や不法占拠の対象となりやすい場所でもあります。また、老朽化した建物は火災が発生しやすく、周囲の建物にも被害を及ぼす危険性が高まります。これにより、地域の安全が脅かされ、周辺住民にとって大きな不安材料となるのです。
近隣への悪影響
空き家が増加すると、その周辺に住む人々の生活環境にも悪影響を及ぼします。空き家は荒れ果てたまま放置されることが多く、ゴミの不法投棄や雑草の繁茂、害虫や動物の発生など、衛生面での問題を引き起こす可能性があります。また、空き家が多い地域は、景観が悪化し、住環境全体の魅力が低下するため、近隣住民の不動産価値も下がりやすくなります。これにより、周辺住民が引っ越すことも増え、コミュニティの崩壊につながるケースもあります。
地域の活性化の阻害
空き家が増加することで、地域の活性化が阻害される要因となります。新しい住民や企業が地域に参入しにくくなり、地域全体が停滞することがあります。特に、若年層や移住者が定着しにくい地域では、人口減少がさらに進み、学校や病院などの公共サービスが縮小される危機に直面します。また、空き家の多い地域は、地域コミュニティの衰退や、住民同士のつながりが希薄になるなど、社会的な問題も引き起こす可能性があります。これにより、地域の発展が長期的に阻害される恐れがあります。
環境への影響
空き家の放置は、環境にも悪影響を与えることがあります。老朽化した建物の崩壊によって、建築資材や廃棄物が周辺環境に散乱し、土壌や水質の汚染が発生することもあります。また、建物が放置されることで、動物や植物が予期しない形で繁殖し、地域の生態系に影響を与えることもあります。これにより、地域の自然環境が損なわれ、住民の生活にも悪影響を及ぼすことがあります。
空き家問題の今後の予測|日本社会が直面する課題とその展望
日本における空き家問題は、少子高齢化や人口減少に伴って今後さらに深刻化することが予想されています。都市部では再開発の遅れや土地の価格上昇が空き家の増加を招いています。一方、地方では人口減少が加速し、空き家の増加が地域の衰退を助長しています。このままでは社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
しかし、政府や自治体の取り組みが進み、空き家を地域活性化や都市再生の一環として活用する動きが加速すれば、課題はチャンスへと変わる可能性があります。
空き家の増加は継続する
少子高齢化と人口減少は続いており、今後も空き家が増加することは避けられないと予測されています。総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2018年の時点で空き家率は約13.6%に達しており、特に地方や過疎地域ではさらに高い数値を記録しています。これにより、2040年までには全国の空き家率が20%を超える可能性があるとされています。
地方と都市での空き家の格差
地方では過疎化が進む一方で、都市部でも空き家が増加する傾向があります。地方では、特に高齢者が亡くなった後、相続人が不在だったり遠方に住んでいたりすることから、空き家が放置されやすくなります。一方、都市部では、古いマンションやアパートが空き家となるケースが増え、築年数が古くなることで修繕費がかさむなどの理由で放置されることが懸念されています。
空き家対策の強化と多様化
政府や自治体は、空き家問題に対してすでに様々な対策を講じていますが、今後はさらに対策の強化と多様化が進むと予想されます。空き家バンク制度の拡充や、スマートシティーや再開発プロジェクトなど様々な方法で空き家対策がされていくと予想されています。
空き家問題の解決策と活用方法
地域コミュニティの活性化: 地域住民や自治体が協力して、空き家を地域資源として活用する取り組みが求められます。例えば、空き家を改装して地域コミュニティスペースや観光資源とするなどの方法があります!
実際に空き家を活用!|【由’sシェアハウス】
私達の時由地材は実際に空き家を活用し、「由’sシェアハウス」というシェアハウス事業を行っています。元々は設計事務所だった所を、リノベーションし地域の大学生や若者の住む場所として提供しています。
シェアハウスのコンセプトは”「やりたい」が生まれ、巣立つ場所”
生活する人が日々を楽しく過ごしたり、自分のやりたいことに挑戦するのを支える事ができる場所を作りたい。という想いから生まれました。
住民の数は3~4人なのでアットホームな暮らしができる他、定額全国住み込みサービス「ADDress」にも登録されている為、海外の方も含めた様々な旅人との交流もできます。
また、定期的にシェアハウスでオリジナルの行事を行うことで、地域の人との交流場ともなっています。
2024年の8月はシェアハウスで夏祭りを開催。たくさんの地域の人々が集まりました。
空き家をシェアハウスとして活用することで、地域活性化にも繋がります。
空き家を使ったシェアハウス事業を考えている方は、是非一度、時由地材へご相談ください。
元は診療所だった空き家を活用!|【シェアベースMigiwa】
空き家を活用した事業として、シェアベースMigiwaという「図書館&シェアリビング」があります。
この空き家は元々は診療所でした。診療所特有の広い待合いスペースや診療スペースを上手く活用し、ゆっくりくつろげる空間やコワーキングスペースとなっています。
地域の人々が本を持ち寄ったり、子供からお年寄りまで自由に本を楽しめます。また、「一箱本棚オーナー」という、自分専用の本棚を借りて好きな本をおくことができ、自分がおすすめしたい本を紹介することができます。
本が好きな方にはとても素敵な場所となっています。
またコワーキングスペースもあり、ちょっとした作業や仕事をしたい人におすすめです。
時由地材は、Migiwaの壁の塗装や床張りなどの工事をオーナーさんや地域の方と一緒に担当しました。
このように地域の人と協力してリノベーションすることで、地域の人にとっても思い入れの場所となり、地域活性化に繋がります。
空き家を活用した事業や移住についての提案
空き家を活用して地方で事業を始めることや移住することは、地方の活性化や地域社会の再生に貢献するだけでなく、都市部にはないビジネス機会や新しいライフスタイルを手に入れることができます。特に、最近ではリモートワークの普及や、ライフスタイルの多様化に伴い、都会を離れて地方で新たな挑戦をする人が増えています。
新しい事業を考えている方へ
新しい事業を始めることを考えている方におすすめしたいのが、田舎にある空き家です。
田舎にある空き家は、都会の物件と比較して格段に低価格で取得できるため、初期投資を抑えることができます。また、空き家バンクや自治体の補助金制度を利用することで、さらにコストを削減できる可能性があります。リフォーム費用も含めて考えても、都会で新築物件を借りたり購入したりするよりも低コストで事業を開始できる点は大きなメリットです。
最近は古民家をリノベーションしてゲストハウスやカフェなど、地域の特性にマッチしたビジネスを展開することで、若者や地域の人から愛されるお店が数々存在します。
多くの地方自治体では、空き家を活用した事業を支援するための補助金や税制優遇措置を提供しています。これにより、リノベーション費用や事業運営にかかる費用の一部を賄うことができ、経済的な負担が軽減されます。自治体と連携することで、資金調達やプロモーション活動の支援を受けることも可能です。
第二の人生田舎暮らしを考えている方へ
第二の人生を都会ではなく、地方や田舎などで過ごしたいと考えている方におすすめしたいのが、空き家を活用することです。
低コストでの住宅所得ができるのはもちろん、広いスペースと自然環境でリラックスした環境で過ごすことができます。
ゆったりとしたペースで生活を楽しみたい方にとって田舎暮らしは大きな魅力です。
ただ、ただ安さだけで空き家を選んでしまうと、大きな失敗に繋がる事もあります。
そのような失敗を避けるためにも、専門家に一度見てもらうことをおすすめしています。
場合によっては、空き家内部の清掃、リフォームやリノベーションなどが必要になることがあります。
時由地材では、そのような空き家で第二の人生を歩もうとしている方々のお助けをしています。時由地材のオーナー本谷由香は2級建築士の資格を所有し、数々の空き家案件を担当してきました。初めての田舎暮らしをより豊かなものにするために、空き家の状態や、清掃、リノベーションなどを一緒にお手伝いいたします。場合によってはリフォームなど大きな作業は時由地材からの紹介をすることが可能です。
空き家を所有人におすすめ【空き家バンク】について
多くの地方自治体では「空き家バンク」と呼ばれる仕組みを設け、空き家を希望者に紹介し、賃貸や売却を促進しています。これにより、所有者は活用されていない家を賃貸や売却ができるため、建物が無駄にならずに済みます。空き家バンクは、特に地方への移住を希望する人にとって低コストで住宅所得ができるなど大きなメリットがあります。若い世代や移住者に対して手頃な住宅を提供し、地域の活性化を図る動きも見られます。
空き家を所有している方は空き家バンクなどを活用することで、いろいろなメリットが得られるのでおすすめです。
空き家活用プロジェクトをSNSで宣伝!若者からも注目される場所に☆
空き家問題の解決策として、空き家をリノベーションして有効活用し、さらにSNSを活用した宣伝を行うことで、若者の関心を引き付けることができます。特に地方の空き家を活用する際、若者に向けた効果的な情報発信は、地域活性化に大きな役割を果たします。
空き家のリノベーションで新しい魅力を創出
空き家を単に住居やビジネススペースとして利用するだけでなく、カフェやゲストハウス、コワーキングスペースなど、若者に人気のあるスポットとしてリノベーションすることで、地域の魅力を引き出すことができます。若者世代は、デザイン性やユニークな体験に興味を持つ傾向が強いため、個性的な空間づくりが重要です。
SNSを活用した効果的な情報発信
空き家を活用したプロジェクトをSNSで宣伝することで、若者にアプローチすることが可能です!
空き家を活用したカフェやゲストハウス、コワーキングスペースなど、若者に人気のあるスポットはSNSで写真や動画を紹介することで若者の関心を集めやすくなります。特に「映える」スポットとして空き家をリブランドすることが効果的です。
実際に【由’sシェアハウス】も【シェアベースMigiwa】もSNSで情報を発信しています!
気になる方は是非、SNSもご覧ください☆
地域コミュニティとの連携強化
SNSを通じて発信する際には、地域コミュニティとの連携も重要です。地域で行われているイベントや地元の特産品と空き家プロジェクトを組み合わせて発信することで、若者の関心を引きながら地域全体の活性化につなげることができます。
まとめ
空き家問題は、日本社会が直面する複雑かつ多面的な課題です。この問題は、少子高齢化や人口減少、相続問題、地域経済の停滞など、さまざまな要因が絡み合っています。そのため、単一の解決策では対処できません。しかし、適切な法制度の整備、地域コミュニティの活性化、そして最新技術の活用を通じて、解決への道筋を見つけることは可能です。
空き家問題の解決には、多角的なアプローチが必要です。今後も継続的な取り組みが求められるこの問題に対して、私たち一人ひとりが関心を持ち、積極的に対策を講じることが重要です。地域の活性化や住環境の向上に向けて、行動を起こすことが私たちの未来を変える第一歩となるでしょう。
時由地材代表:本谷由香のプロフィール
『見捨てられたものに新たな価値を』
この理念のもと、茨城県水戸市を拠点に空き家の片付け・リフォーム事業や廃材のリメイク、シェアハウスを通じた心の拠り所づくりなどを行っております。
私の祖父は大工で叔父も建築士だったので、ものごころついた時から建築が身近にあり、二級建築士の資格も取得。物の再利用にも興味をもち、失われゆくものの魅力を発見し、新たな価値を創造してきました。
ご依頼者様の想いや建物に寄り添った片付けと再活用方の提案によって秘められた価値を再発掘し、住む人、建物、その地域に幸せをもたらします。
また、空き家と猫を通じたまちづくりの一環として、保護猫活動も行っております。
売上金の一部は保護猫基金への寄付に充てさせていただきます。
(参考)保護猫事業のHP